詩 夜明け前

みなさん、こんにぴあ。

電話相談ボランティアの風書なおきさんが、ご相談者さんのことを考えながら綴った詩をくださいましたので、みなさんにもお届けします。

夜明け前               風書なおき

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岬から次の陸地へと渡る

強い風にさらされ飛び立てそうにない海鳥

翼は鳥籠で飼われている太った鳥の美しい翼ではなく

傷だらけの翼

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何故そんなに辛そうなの

君は楽をしていいんだよ

自由を得るには責任も伴うから

明日のエサだって困るだろ

小賢しい人間はそう言って次々と鳥たちを

鳥籠に追い込む

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小さな雀などは傷だらけの海鳥を醜いと馬鹿にしている

だが、強い鷹は違う

本当に強ければ弱者をイジメる必要はないから

鷹も無傷ではない

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今は朝の前の冷えた暗闇

飛び立つ前の力を静かに蓄えている

遥か彼方に雲の切れ目から朝日が射すだろう

それに飛び立つのだ

鷹よりも高く力強く希望を持って

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一点の光に飛び立った海鳥を見て

飛べない鳥たちは言うだろう

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彼こそ真実の鳥

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風書なおき/KP電話相談ボランティア。アート作品、詩、小説の執筆などマルチに活動中。ラグーナ出版から刊行されている「シナプスの笑い」にて、戦争時代に人間らしく生きようとした天才機関銃士についての小説を連載中。

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